伊豆大島の椿まつり2023

【椿information】2023-2-22

今年で第68回を数える伊豆大島椿まつり。

例年、椿の開花時期に合わせて1月末から3月末まで、約2カ月間も開催されます。今年の会期は1月29日(日)から3月26日(日)です。

伊豆大島椿まつり期間中は、島内の各所に自生するヤブツバキ約300万本が開花し、島内にある3つの椿園で様々な園芸品種のツバキの花が楽しめます。来島者の多くは東海汽船が用意する手頃・手軽なパッケージツアーで来島します。観光協会では島内各施設や島民の協力を得ながらイベントを行い盛り上げています。

椿プラザ特設会場:

来島者歓迎イベントは、メイン会場の都立大島公園椿プラザ特設会場で毎日おこなわれます。ステージでは大島のアンコ装束に身を包んだアンコさんによる大島民謡や「アンコの手踊り」などの郷土芸能が披露され、出展ブースでは椿油や明日葉茶などのお土産が購入できます。

椿園:

郷土芸能を見た後はそのまま都立大島公園の椿園を散策して椿の花を楽しめます。国内最大級の広さをもつ園内には、原種と園芸種が約1,000品種、3,200本、自生するヤブツバキが約5,000本あります。椿園は他にも都立大島高校で農林課の生徒たちが管理運営する椿園と、民間の椿花ガーデンがあります。

3つの椿園はいずれも国際ツバキ協会が国際優秀ツバキ園に認定しています。

伊豆大島の国際ツバキ協会が国際優秀ツバキ園・3園

その他に:

祭りを盛り上げるイベントとして初日には伊豆大島の郷土芸能である和太鼓「御神火太鼓」が披露されました。そのほか長い椿まつり期間中には、いくつかの催しも行われます。

・2月3日(金)~3月18日(土)の金・土19:30〜21:00に夜祭(元町港船客待合所内)

・2月25日(土)椿の女王コンテスト(大島公園椿プラザ)

・3月21日(火)~26日(日)椿花ガーデンライトアップ

今年の椿の花に見頃は、2月下旬から3月中旬だそうです。

参考:

第68回伊豆大島椿まつり公式サイト:大島観光協会

http://www.izu-oshima.or.jp/68th_camellia_festival/index.html

PRTimes:第 68 回伊豆大島椿まつり ~メイン会場 大島公園 で楽しもう!~[東海汽船株式会社]:

https://www.jiji.com/jc/article?k=000000224.000007930&g=prt

ホテル椿山荘 椿絵巻 〜東京椿インスタレーション・アート〜

【椿information】2023-2-8

東京都文京区のホテル椿山荘では、今年も 椿絵巻〜東京椿インスタレーション・アート〜が始まりました。

椿山荘は、明治の軍人・政治家であった山縣有朋が購入して作った庭と邸宅である「椿山荘」に由来します。山縣の故郷は現在の山口県萩市で、萩には、人の手によって生み出された椿の純林「笠山椿群生林」があります。その笠山椿群生林をモチーフにしたのが、椿絵巻〜東京椿インスタレーション・アート〜です。開催期間は、2/8(水)~2/28(火)の3週間、笠山を想像しながら歩いてみてはいかがでしょう。

2021/2/27撮影
2021/2/27撮影

ホテル椿山荘まで行けない方は、YouTubeに動画がありますので、こちらをどうぞ。

椿山荘の庭では、1~3月にかけて、約100種2300本の椿が咲きます。もう、少しずつ咲き始めていますので、併せて見学するのがお勧めです。 また萩市では今年、3/18(土)・19(日)に全国椿サミットが開催され、笠山への見学も予定されています。

参考:

・ホテル椿山荘 東京椿:https://hotel-chinzanso-tokyo.jp/tsubaki/

・つらつら椿【椿の名所】ホテル椿山荘と関口台地の椿山:https://tsubaki-fan.com/camellia-trip/hotel-chinzanso-tokyo-tsubaki-yama/

椿の記念日

【椿information】2023-1-25

1月28日は「いい、つばきの日」、愛媛県松山市が制定した椿の記念日です。

「つばき」に愛着を持ち、笑顔が広がることを願って、2018年(平成30年)に制定されました。

伊予は椿どころです。古くから自生しているヤブツバキは松山市の市の花にもなっています。(1972年4月1日制定)毎年1月28日の「いい、つばきの日」から椿が見頃を迎える3月末までの間「つばきフェスティバル」と題して市民参加の様々なイベントが開催されます。その一つに俳人・夏井いつきさんによる句会ライブは、コロナ禍によって2021年からはリモート句会ライブとして行われています。松山は俳人・正岡子規の故郷ですからぴったりなイベントですね。

また松山市の「椿神社」(伊豫豆比古命神社:いよずひこのみことじんじゃ)では、例年、旧暦正月8日を例祭日としてその前後3日間「椿まつり」が行われます。2023年は1月28日(土)~30日(月)の3日間の開催です。

もうひとつ椿の記念日があります。

2月8日の「つばきの日」で、長崎県五島市が制定しました。日本人の生活と文化に密接なつながりを持つ「椿」に焦点を当て、大事に守り育てていく、という思いが込められているそうです。

五島は「東の大島、西の五島」と並び称され、国内有数の椿の自生地として知られる場所です。ヤブツバキが多数自生しており、椿油の生産量も多く、名産の五島うどんにはその椿油が使われています。国際ツバキ協会認定の国際優秀椿園もあります。

2/18(土)~26(日)は第29回五島椿まつりが開催されます。

1月28日の「いい、つばきの日」と、2月8日の「つばきの日」。

それぞれの地元では記念日に合わせて椿の普及活動が盛んです。いずれも「椿のご当地」を自負していることがうかがえます。

こうした記念日をきっかけに多くの人々が椿に目を向けてくれることを幸いと思い、ともに喜び、応援したいものです。

参考:

1月を彩る酒井抱一筆「十二か月花鳥図」の椿

【椿information】2023-1-11

四季の変化が細やかな日本では、春夏秋冬の四季のみならず、24に分けた「二十四節気」、72に分けた「七十二候」などによって自然の移ろいを、鳥、花、気象などの様子で表してきました。

そうした自然の移り変わりを12カ月それぞれの月にふさわしい花や鳥によって彩り、12図をセットにしたのが、酒井抱一(さかいほういつ)筆「十二か月花鳥図」十二幅です。

椿は1月の図に登場します。

1月の題材は、椿、梅、鶯。旧暦の1月は新暦の1月下旬から3月上旬頃にあたるので今よりずっと春めいていますから、1月に、椿、梅、鶯が選ばれたのもしっくりきます。

十二か月花鳥図 1月 酒井抱一/図録「畠山記念館の名品」より

今でも時折、椿は首が落ちて不吉だと思っている方がいますが、もしそうであれば1月の題材になど選ばれなかったはずです。また武士の嗜みであった茶道でも椿は炉の季節の重要な花です。むしろ古来より常世、吉祥の象徴であり、年の初めに相応しい花ではないでしょうか。

作者の酒井抱一は江戸時代後期の江戸琳派を代表する絵師で、「風神雷神図屏風」は誰もが知るところでしょう。花鳥図や草花図を得意とし、晩年の作である「花鳥十二ヶ月図」は人気作であったので、いくつものセットが現存しています。どの月も構図が整い、色合いが美しく、豊かな季節の情緒が感じられます。

図の引用は図録「畠山記念館の名品」から。

畠山記念館は荏原製作所創業者、畠山一清が蒐集した美術品、約1300件を展示する美術館です。収蔵品は、茶道具を中心に書画、陶磁、漆芸、能装束など、日本、中国、朝鮮の古美術品があり、国宝6件、重要文化財33件を含みます。現在は施設改築工事の為長期休館中。

参考:

・特別展 畠山記念館の名品 ―能楽から茶の湯、そして琳派―,日本経済新聞社・NHK京都放送局・NHKエンタープライズ近畿,2021

東京農工大学のサザンカ

【椿information】2022-11-24

11月19日(土)に東京農工大学へサザンカを見に行きました。校内に植えられたサザンカは約200品種、樹齢数十年のものもあります。これらは箱田直紀会長がかつて研究に育てていたもので、今は農工大のシンボル的花木としてキャンパスを彩っています。多くのサザンカは花盛りを迎えていました。

サザンカは木の表側に咲き、花数も多いので華やかです。一方ツバキは葉の下に隠れるように咲くことが多いので、静かな佇まいがあります。同じカメリア属のツバキとサザンカですが、雰囲気はそれぞれですね。

<サザンカの品種を覚えてみましょう>

昭和の栄(しょうわのさかえ)

全国で見られるシシガシラ系のサザンカです。花径は7、8cmですが、紅桃色の花弁には白雲状の白斑が入り、華やかです。時に横杢模様の斑入り花もあり、複雑な色あいで見ごたえがあります。

富士の峰(ふじのみね)

「富士の峰」はとてもポピュラーな品種です。九州に枯木が多く、明治初期に関西から広まったと言われ、「峰の雪」の名で販売されていたこともありました。花弁が30~50枚もある千重咲き、咲き切るとおしべが少し見えてきます。11月中頃から咲き始めます。シシガシラ系。

初音(はつね)

花弁を縁取る紫がかった紅色のぼかしがなんとも美しいこと。10月頃から咲く早咲きの品種で、花径は7、8cmの一重咲きですがなかなか存在感のある一輪です。栄久絞と間違われて販売されていたこともあるそうで、箱田先生の命名です。サザンカ系。

夕陽(せきよう)

肥後サザンカのひとつで、12~15枚の鮮やかな濃紅色の花弁をしていて、時に白い筋が入ります。シシガシラ系。肥後サザンカとは肥後藩の園芸家たちによって生み出された独特の美意識に基づく園芸品種群です。一重平開咲き、梅芯といった特徴があり、庭木や盆栽として仕立てられ、海外でも人気があります。

<東京農工大学のサザンカについてもっと知りたい方へ参考資料>

「東京農工大学のサザンカ」http://www.sato-tsubaki.co.jp/source/C.sasanqua.pdf

<これからあるサザンカ展と観察会>

○国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑「冬の華・サザンカ」

https://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/plant/project/next.html

・2022年11月29日(火)~ 2023年1月29日(日)

・日本固有種であるサザンカを鉢植えにて、約140品種、約300鉢を展示

・12月17日(土)13:30~ 箱田直紀氏(日本ツバキ協会会長・恵泉女学園大学名誉教授)による観察会

アンペルギャラリー 椿絵コレクション展のご案内

【椿information】2022-12-1

今年もまた、日本橋のUNPEL GALLERY(アンペルギャラリー)で、あいおいニッセイ同和損保 椿絵コレクション展が開催されます。

ギャラリーの運営母体であるあいおいニッセイ同和損保は、桃山時代から近現代に至るまでの椿をテーマとした絵画・工芸品の一大コレクションを有し、その作品数は約300 点に及びます。著名な作家、有名な作品が数多くあり、中には見たことのある作品もあるでしょう。

ギャラリーなので一室しかない展示ですが、質の良い椿作品が見られます。入場は無料。

ぜひ足を延ばしてみてください。

会期:

パート1 2022年12月3日(土)~25(日)

パート2 2023年1月10日(火)~29(日)

あいおいニッセイ同和損保 アンペルギャラリー

サザンカの季節

【椿information】2022-11-10

花の少ない晩秋から初秋にかけて、サザンカは花盛りを迎えます。サザンカはツバキと同じCamellia属、よく「ツバキとサザンカはどこが違うの?」という疑問を耳にします。

ツバキとサザンカを見分けるポイントを簡単に言うと、

①ツバキは花弁が散らず、花が丸ごと落ちる。サザンカは花弁がパラパラに散る。

②ツバキは雄しべの基部がくっついている。サザンカは分離している。

③サザンカは子房や細い枝や実に毛が生えているツバキは生えていない。

④サザンカは芳香がある。ツバキはない。

(画像参照)

困るのはツバキとサザンカの種間雑種でできた園芸品種で、当然どちらにも似ています。

園芸学では、サザンカ、ツバキ、その中間のカンツバキやハルサザンカと分類しています。

10月から5月にかけてツバキとサザンカが次々と咲きます。せっかくの花の時期です。ツバキかサザンカか論争に花を咲かせるより花を見て楽しみましょう。それに実物を見ているうちに「これはサザンカっぽいな」これはツバキの要素が多いな」などと分かるようになります。

サザンカの咲く場所には甘く爽やかな芳香が漂います。秋空の下で咲くサザンカの花と香りを楽しむ秋の休日はいかがですか?

お出かけの参考にサザンカの見られる場所と観察会をご案内します。

<サザンカがよくみられる公園>

佐賀県には国指定天然記念物の千石山サザンカ自生北限地帯があり、山の斜面いっぱいに白い花が咲く様子は見事です。(【椿の名所】千石山サザンカ北限自生地帯

<観察会>

○東京農工大学のサザンカ観察会(日本ツバキ協会主催)

・2022年11月19日(土)13:00 東京農工大学農学部 正門前集合
・大学内に植栽されたサザンカを箱田直紀氏(日本ツバキ協会会長・恵泉女学園大学名誉教授)の解説を聞きながら見て歩きます。

○国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑「冬の華・サザンカ」

・2022年11月29日(火)~ 2023年1月29日(日)
・日本固有種であるサザンカを鉢植えにて、約140品種、約300鉢を展示
・12月17日(土)13:30~ 箱田直紀氏(日本ツバキ協会会長・恵泉女学園大学名誉教授)による観察会

参考文献:

・ツバキとサザンカの見分け方,木全典子,2021

富山県中央植物園の桐野秋豊展

【椿information】2022-10-12

現在、富山県中央植物園では「桐野秋豊ツバキ資料展 八尾が生んだツバキ研究家」展が行われています。10月2日(日)に特別展に合わせて行われたフォーラムに参加しました。

桐野秋豊氏は著名なツバキ研究家で、半世紀にわたってツバキ研究一筋に打ち込んできた方です。一般社団法人日本ツバキ協会会長、いのくち椿館(富山県南砺市)名誉会長、などを歴任されました。

桐野先生は富山県八尾町の出身で、教員時代にユキツバキがきっかけでツバキ研究に没頭します。安達流創業者の故安達潮花氏に請われて教師を辞めて東京・安達流椿研究所主任研究員に、その後、横浜の(社)こどもの国・椿の森担当主任として勤務。多くの書籍や研究成果を著し、その元となった資料とツバキの木を残して2015年に亡くなりました。

富山県中央植物園は、これら研究記録である 31冊の「桐野ノート」を始め、2万点を超える写真など、半世紀にわたる研究活動の膨大な資料をデジタル化、さらに園内に自宅のツバキ243種類391本を桐野ツバキコレクションとして移植した事を機に、今回の特別展が開催されたのです。

特別展1は9月9日から10月19日まで開催、資料を中心に展示とフォーラムでした。

フォーラムでは、富山県中央植物園主任の志内利明氏がツバキの植栽と資料のデジタル化プロジェクトをいかに成功させたかをユーモアを交えて話し、一般社団法人日本ツバキ協会箱田直紀会長は研究者としての桐野先生の活躍や日本ツバキ協会における実績を紹介しました。威光を讃えると共に、桐野先生のお人柄を伝えるお話でした。

座談会では桐野先生のご家族を交えて、生前を知る方々によるエピソードが紹介され、会場はかつての教え子なども集まり、懐かしくも和やかなひと時となりました。

2023年3月17日(金)~29日(水)には「桐野ツバキコレクション展2」が開催、植栽されたツバキが花を咲かせる姿が見られるでしょう。

※写真は許可を得て撮影しています

※詳細は公式Instagram

https://instagram.com/botanicgardenstoyama_official?igshid=YmMyMTA2M2Y

公式サイト

https://www.bgtym.org/news/6589/

参考文献:

いのくち椿館 原種ツバキ図鑑,桐野秋豊,いのくち椿館,2013

北陸中日新聞, 中日新聞北陸本社,2022年9月10日

椿油専門メーカー大島椿が椿の専門図書館を開館

【椿information】2022-10-7

椿油専門メーカー大島椿グループは、創業95周年記念事業として大島椿株式会社本社内に開館しました。開館式は2022年10月7日(金)13:30より本社にて行われました。コロナ対策のため、来賓と代表取締役岡田一郎社長、大島椿椿図書館木全典子館長(兼司会)は本社乙女椿ルームにて、他の取締役と社員はZOOMでの参加となりました。

開館式

開館式は、岡田社長の挨拶で始まりました。

来賓は、椿に関わる世界で活躍する著名な方々にお集まりいただき、それぞれの皆様がお言葉を述べられました。あいおいニッセイ同和損害保険株式会社・アンペルギャラリー 反町光太郎様からは、来賓を代表して祝辞をいただきました。また欠席の国際ツバキ協会地域理事柄戸正様より、開館のメッセージが届き、司会が代読しました。

ご来賓の方々
一般社団法人日本ツバキ協会会長、いのくち椿館名誉館長 箱田直紀様
一般社団法人日本ツバキ協会副会長・学術担当、伊予つばき協会会長 山口聰様
一般社団法人日本ツバキ協会 町田支部事務局長 伊藤哲郎様
元コーベ・カメリア・ソサエティ会長 森田章介様
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社・アンペルギャラリー 反町光太郎様

その後、大島椿椿図書館開館について大島椿株式会社顧問で椿図書館館長兼司書の木全より説明。

締めくくりは一般社団法人日本ツバキ協会箱田直紀会長による記念講演が行われ、ツバキ属植物の概論、日本における椿文化などが、わかりやすく説明されました。

式典は和やかな雰囲気のうちに終了し、開会式の後には椿図書館内覧会が行われ、椿の書架の前で椿談議が交わされました。

どんな図書館?

大島椿椿図書館の特徴は、園芸、植物、歴史、芸術など様々な分野において、国内外の椿について書かれた、あるいは椿をテーマに表現された書籍・雑誌・DVDなどを網羅的に収蔵していることと、来館者が実際に手に取って活用できる開架式図書館であることです。多様な収集物に対応するため、資料は日本の図書館の分類である「日本十進分法(NDC)」を基本とした独自の方法で分類し書架に並べられています。

現在収蔵資料は約800文献(約1200点)、うち約670文献が閲覧可能です。これらの資料は大島椿株式会社が購入した以外にも、椿図書館に賛同した方々から数多くの貴重な資料が寄贈されました。

炉開きというツバキ

【椿information】2022-9-27

残暑の9月も椿ファンにとっては椿の季節の始まり。その先駆けの一つが「炉開き」です。

茶道では11月になると風炉に代わって囲炉裏を開けて、火を入れ釜を掛けます。この行事が「炉開き」で、この日から炉の季節が始まります。「茶人の正月」とも称される大事な行事である炉開き、その名を戴く品種がこの「炉開き」です。

椿の品種「炉開き」の花は、淡桃~桃色、一重、平開咲き、茶しべ、極小輪。9~4月頃咲く。葉は、長楕円形、小形。樹形は叢性、樹勢は強く、枝葉は密生。産地は新潟。

椿は11月から4月の炉の季節に茶席を最も飾る花です。しかし用いられるのは太神楽や白玉椿、太郎庵などのつぼみや、咲き初めの侘助などです。「炉開き」は見たことがありません。名のみばかりとは切ないですが、炉の季節を通じて咲いて見守る役割なのでしょうか。

「炉開き」は従来ユキツバキとチャの自然雑種と言われてきました。2003年にDNAマーカーによる解析の結果からヤブツバキが種子親でチャが花粉親という説も発表されています。どちらが正しいのか? 

いずれにせよ一方の起源がチャであろうことは、花の様子や枝葉の様子からもうなずけます。

炉開き 

参考文献:

・お茶の友1 茶花の図鑑 炉編, 世界文化社編, 世界文化社, 1985

・茶席の花 椿と侘助, 桐野秋豊, 文化出版局, 1986・決定版 茶席の花 椿をいける 百種百様, 永井宗圭, 淡交社, 2004