椿の記念日

【椿information】2023-1-25

1月28日は「いい、つばきの日」、愛媛県松山市が制定した椿の記念日です。

「つばき」に愛着を持ち、笑顔が広がることを願って、2018年(平成30年)に制定されました。

伊予は椿どころです。古くから自生しているヤブツバキは松山市の市の花にもなっています。(1972年4月1日制定)毎年1月28日の「いい、つばきの日」から椿が見頃を迎える3月末までの間「つばきフェスティバル」と題して市民参加の様々なイベントが開催されます。その一つに俳人・夏井いつきさんによる句会ライブは、コロナ禍によって2021年からはリモート句会ライブとして行われています。松山は俳人・正岡子規の故郷ですからぴったりなイベントですね。

また松山市の「椿神社」(伊豫豆比古命神社:いよずひこのみことじんじゃ)では、例年、旧暦正月8日を例祭日としてその前後3日間「椿まつり」が行われます。2023年は1月28日(土)~30日(月)の3日間の開催です。

もうひとつ椿の記念日があります。

2月8日の「つばきの日」で、長崎県五島市が制定しました。日本人の生活と文化に密接なつながりを持つ「椿」に焦点を当て、大事に守り育てていく、という思いが込められているそうです。

五島は「東の大島、西の五島」と並び称され、国内有数の椿の自生地として知られる場所です。ヤブツバキが多数自生しており、椿油の生産量も多く、名産の五島うどんにはその椿油が使われています。国際ツバキ協会認定の国際優秀椿園もあります。

2/18(土)~26(日)は第29回五島椿まつりが開催されます。

1月28日の「いい、つばきの日」と、2月8日の「つばきの日」。

それぞれの地元では記念日に合わせて椿の普及活動が盛んです。いずれも「椿のご当地」を自負していることがうかがえます。

こうした記念日をきっかけに多くの人々が椿に目を向けてくれることを幸いと思い、ともに喜び、応援したいものです。

参考:

1月を彩る酒井抱一筆「十二か月花鳥図」の椿

【椿information】2023-1-11

四季の変化が細やかな日本では、春夏秋冬の四季のみならず、24に分けた「二十四節気」、72に分けた「七十二候」などによって自然の移ろいを、鳥、花、気象などの様子で表してきました。

そうした自然の移り変わりを12カ月それぞれの月にふさわしい花や鳥によって彩り、12図をセットにしたのが、酒井抱一(さかいほういつ)筆「十二か月花鳥図」十二幅です。

椿は1月の図に登場します。

1月の題材は、椿、梅、鶯。旧暦の1月は新暦の1月下旬から3月上旬頃にあたるので今よりずっと春めいていますから、1月に、椿、梅、鶯が選ばれたのもしっくりきます。

十二か月花鳥図 1月 酒井抱一/図録「畠山記念館の名品」より

今でも時折、椿は首が落ちて不吉だと思っている方がいますが、もしそうであれば1月の題材になど選ばれなかったはずです。また武士の嗜みであった茶道でも椿は炉の季節の重要な花です。むしろ古来より常世、吉祥の象徴であり、年の初めに相応しい花ではないでしょうか。

作者の酒井抱一は江戸時代後期の江戸琳派を代表する絵師で、「風神雷神図屏風」は誰もが知るところでしょう。花鳥図や草花図を得意とし、晩年の作である「花鳥十二ヶ月図」は人気作であったので、いくつものセットが現存しています。どの月も構図が整い、色合いが美しく、豊かな季節の情緒が感じられます。

図の引用は図録「畠山記念館の名品」から。

畠山記念館は荏原製作所創業者、畠山一清が蒐集した美術品、約1300件を展示する美術館です。収蔵品は、茶道具を中心に書画、陶磁、漆芸、能装束など、日本、中国、朝鮮の古美術品があり、国宝6件、重要文化財33件を含みます。現在は施設改築工事の為長期休館中。

参考:

・特別展 畠山記念館の名品 ―能楽から茶の湯、そして琳派―,日本経済新聞社・NHK京都放送局・NHKエンタープライズ近畿,2021