大島椿 椿のカレンダー2024

2022年から大島椿ではオリジナル椿カレンダーを制作しています。椿の写真は日本ツバキ協会の理事で椿の写真を長年撮り続けている高野末男氏からお借りしたもの。美しい椿の写真は毎年多くの方にご好評で、2024年カレンダーもたいへん喜ばれています。

カレンダーの1枚目は、「大島椿は、『椿守カンパニー』」というコピーと伊豆大島つばき座への思いがつづられ、つばき座の写真ではじまります。椿油専門メーカ・大島椿が、椿と椿油から生まれ育まれてきた文化を後世に受け継いでゆく「椿守」の活動は、創業当時から現在に至るまで、更には未来へと続く「思い」と「行動」です。

山椿舎では2020年からこの椿のカレンダーを制作しています。

多彩で美しい椿のカレンダーを通じて椿の文化や魅力を伝えられたら幸いです。

椿絵コレクション名品選「百歳万彩」

【椿information】2023-11-28

今年もあいおいニッセイ同和損保の椿絵コレクション展の時期になりました。

場所:東京駅から近い日本橋のUNPEL GALLERY(アンペルギャラリー)

日程:2023年12月2日(土)~24日(日)

無料

今回は「百歳万彩」と銘打って、100歳を超えても絵を描き続けた「健康長寿」の画家の作品が展示されます。

タイトルにある、奥村土牛は101歳、小倉遊亀は105歳、堀文子は100歳まで生きた長寿画家たち。いずれも多くの作品を残して、その絵を見たことがない人はいないでしょう。

<3人の画家について>

奥村土牛(おくむらとぎゅう)

1889年-1990年、101歳。現代日本の代表的な日本画家の一人。本名は奥村義三(おくむらよしぞう)。画号の「土牛」は、出版社を営んでいた父が寒山詩の一節「土牛石田を耕す」から引用してつけられた。多くの富士山を多く描いた作品や、渦潮を描いた「鳴門」が有名。

小倉 遊亀(おぐらゆき)

1895年-2000年、105歳。日本を代表する女性画家の一人。本名はゆき。。女性初の日本美術院同人。代表作は「浴女」や「径(こみち)」など。椿に関しては華やかで色彩豊かな作品が目に留まります。

堀 文子(ほりふみこ)

1918年-2019年、100歳で没。日本画家。花や鳥をモチーフとする作品が多く「花の画家」と呼ばれた。専門の日本画の他に装幀、随筆なども多くあります。

椿については「太神楽」という品種に思い入れがあり、コレクションの絵の中でも描かれています。

参考・引用:

アンペルギャラリーHP  https://unpel.gallery/

サザンカ・ツバキのシーズン到来! 実際に見に行ってみましょう!

【椿information】2023-11-9

街中を歩くとお寺や住宅街のお庭、公園に、サザンカが咲き始めています。サザンカ、ツバキのシーズン到来です。通勤中や散歩しながら、身近かな花を見つけてみてください。

サザンカやツバキが見られる場所、植物展や絵画展をいくつかご紹介します。

<東京都>

都立神代植物園 つばき・さざんか園

10月頃からサザンカが咲き始め、3月〜4月はツバキが最盛期。調布市深大寺元町5-31-10

※秋から春にかけてサザンカとツバキが咲き乱れる。花付きが良く、木に近寄って見られるのが魅力。

亀戸中央公園 サザンカ園

11月~3月頃がサザンカの見頃。東京都江東区亀戸8、9丁目

※江東区の区の花がサザンカ。約50品種、約4,000本が植えられています。

東京農工大学農学部 サザンカ並木

サザンカ約300種が10月~2月に見頃。東京都府中市晴見町3-8-1

※多種多様な大きなサザンカが見られる。

伊豆大島都立大島公園 ツバキ園(国際優秀椿園)

ツバキ・サザンカ約100種・3200本、11月~3月下旬に見頃。東京都大島町泉津字福重2

※広大さ、コレクション数は随一の椿園。一部にサザンカあり。

町田市フォトサロン 第71回ツバキ展

2023年12月2日(土)、3日(日)。東京都町田市野津田町3272 薬師池公園内

※会場のある薬師池公園の椿園では、秋咲き、早咲きの椿が見られます。

速水御舟《名樹散椿》山種美術館HPより 

速水御舟《名樹散椿》【重要文化財】

2023年9月30日(土)~年11月68日(日)

東京都渋谷区広尾 3-12-36

※現在開催中の山種美術館

「日本画聖地巡礼―東山魁夷の京都、奥村

土牛の鳴門―追体験する傑作誕生の地、

発見する画家の心」で実物が見られます。

必見の椿の名画!

<千葉県>

国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑「冬の華・サザンカ」展

2023年11月28日(火)~2024年1月28日(日)。千葉県佐倉市城内町 117

<埼玉県>

慈光寺浄土院念仏堂のサザンカ

10月から11月にかけて開花。埼玉県比企郡ときがわ町大字西平386

※樹高約10m、幹囲約5m(幹は4本)、樹齢推定約450年、国内でも屈指のサザンカの木

国営武蔵丘陵森林公園

ツバキ・サザンカ約 850種が11月~4月に見頃。埼玉県比企郡滑川町山田1920

※広大な園内に多くのツバキ・サザンカ。秋はカエデ園の紅葉も見事。

<佐賀県>

千石山のサザンカ自生林(自生北限地帯・国天然記念物)

10月中旬から11月中旬。佐賀県神埼郡吉野ヶ里町松隈地内(道の駅吉野ヶ里近く)

※開花時期、山が花で白く彩られる様子は圧巻です。

<山口県>

教善寺のサザンカ(山口県指定天然記念物)

10月下旬から12月中旬にかけて開花期。山口県宇部市大字西万倉1244番地

※樹高約13m、目通り幹囲約2.3m、樹齢推定約450年、国内でも屈指のサザンカの木。

茶花の椿

【椿information】2023-10-25 茶花の椿

茶道では11月から炉の季節です。「炉(ろ)」はお茶をたてるためのお湯を沸かす囲炉裏のこと。5~10月頃の夏季は畳の上に風炉を置き、11月~4月の冬季には畳に切ってしつらえた炉で茶を立てます。旧暦10月、現在の11月頃の最初の亥の日に畳の下にしまった炉を開けることを炉開きと言います。炉開きは茶人の正月ともいわれる厳かで特別な行事だといいます。

椿は炉開きの前からも茶席で使われますが、やはりよく用いられるのは炉の時期です。花の少ないこの時期に咲く椿は重宝です。炉開きの茶席では初嵐(はつあらし)などの品種が登場します。

茶席では咲ききった華やかな花姿の椿は見られません。開ききらない侘助、咲きかけの小ぶりな一重、ふっくら丸く咲きかけの蕾などの姿で飾られます。葉も色形が美しいものが好まれます。

茶花と特にいわれる時は単に花の種類だけでなく、活ける瓶、籠、筒などの入れ物との取り合わせが意識されています。花と器が似合ったものであることが美しさになるからなのでしょう。こうした独特の美意識の中で求められ、育まれた茶花としての椿は、園芸とは異なる存在感を放っています。

茶花に用いられる椿には、白玉椿、臘月、侘助、加茂本阿弥、西王母、太神楽、曙、卜伴、太郎庵などがあります。

今ほど園芸品種が多くなかった江戸時代以前でも茶席で椿が用いられことが茶会記などの記録から伝わっています。例えば、天文18年(1549)1月7日に池永三郎兵衛が梅と松と共に用いました。その後も、白玉椿、うすいろ椿、わびすけ椿、などの名が見られます。白玉椿は品種名というより、すぐれて美しいもの、立派なものを意味する「玉」を白椿に付けて「白く美しい椿」といった感じです。うすいろ椿は赤い藪椿に対して色が薄い色の椿、もしくは薄い紫色を指すと思われます。

初嵐 薬師池公園20211205

参考:

  • 茶席の花 椿と侘助,桐野秋豊,文化出版局,1986
  • お茶人の友1 茶花図鑑 炉編,世界文化社編,世界文化社,1994
  • 茶席の花 椿をいける 百種百様,永井宗圭,淡交社,2004

ボタニカルアートのツバキ

【椿information】2023-9-27

NHKの『らんまん』を見ていた方は牧野が描く植物画の精密さに驚いたと思います。写真がない時代に植物の姿を正確に伝えるには植物画に頼るしかありません。牧野富太郎が作った図鑑に載るのももちろん挿絵です。最近の図鑑は写真が主流ですが、実物を見て同定する時、実は写真よりも精密で特徴をとらえた植物画の方が分りやすいこともあります。

ツバキを世界で初めての植物学的に描いた図は、江戸時代に来日したケンペルの『廻国奇観』にあります。リンネは実物のツバキを見ることなくこの図を基に学名を付けました。それだけ優れた植物画は、学問を支える大切な一部なのです。

精密に正確に描かれた植物画は美しく味わい深い絵画にまで発展して「ボタニカルアート」になりました。ボタニカルアートは植物学(BOTANY)における視覚資料であり、同時に絵画(ART)でもあります。

今年の5月に椿のボタニカルアートの本『ベトナムのツバキとポリスポラ』が出版されました。画家の角田葉子さんはこれまで数多くのツバキの植物画を描いています。

ベトナムツバキの調査にも同行していて、この本はその探索の成果でもあります。その植物の有りようをわかりやすく正しく伝える美しくて精密な線、実物の質感すら伝える着色、部位を絶妙に配置した紙面。さらにこの本では発見したツバキの解説が日本語(箱田直紀博士)と英語(Dr.Tran Ninh)でついていて、見応え読み応えのある1冊となっています。大島椿椿図書館に蔵書がありますのでじっくりご覧ください。

ベトナムのツバキとポリスポラ表紙 角田葉子

芸術の秋です。せっかくなので実物の植物画に触れてその魅力を堪能してはいかがでしょうか。近々開催されるボタニカルアート展をお知らせします。角田葉子さんも椿の植物画を出展しています。「アザレアツバキ」と江戸椿の「紅千鳥」です。

第53回ボタニカルアート展

日時:2023年10月9日(月・祝)~14日(土)10:30~18:00(最終日~15:00)

場所:ギャラリー・ムサシ 東京都中央区銀座1丁目9-1 K・Iビル

引用・参考:

ベトナムのツバキとポリスポラ、角田葉子、日本園芸協会、2023

第53回ボタニカルアート展案内状

椿の実の収穫

【椿information】2023-9-14

今年もまた椿の実の収穫と搾油の時期になりました。大きく育った木から実を収穫するのは大変で、手の届かない実を脚立に登って採ったり、高枝切りバサミを使って枝ごと切って採ります。

高枝切りバサミのなかった時代はどうしていたかというと、木に登って採っていました。または下草をきれいに払ってから地面に筵や布を敷き、その上に木から実を振り落したり、棒で引っかけて落してから拾いました。収穫の頃合いは、実の中が黒くなってちょっと割れてきたころを見計らうのだそうです。

下の絵は1933年に清水柳太という画家が描いた『大島風俗』という伊豆大島の風俗を描いた絵巻物の中の絵です。木に登るのは女性達ばかり。みな笑顔です。絵には「椿の実を採りながらアンコたちは朗らかな聲で唄う」と添え書きしてあります。採った実は頭や腰に付けた小さな籠に入れました。

かつての大島では椿油作りは女性の仕事でした。重労働ですがよい現金収入になります。「だから奥さんの方がお金持ちだったのよ」と島の女性は笑って教えてくれました。椿油作りは女性の仕事ではなくなりましたが、明るくたくましい大島の女性は今でも健在です。

『大島風俗』清水柳太(伊豆大島文化情報館・藤井工房所蔵)

参考文献

・大島風俗、清水柳太、1933、伊豆大島文化情報館・藤井工房(旧「伊豆大島木村五郎・農民美術館)所蔵

イタリアのツバキ(その3)

背の高く、大きく育つ海外の椿たち

日本の庭園で見かける椿の多くは、選定してそこそこの大きさに保たれます。一方で海外の椿はほとんど剪定されていません。基本的に選定せずに放置して、木が伸びたいように育てています。これは庭が広いからなのか、貴重な木なので切らないのか、そもそも剪定の概念がないのかもしれません。生垣や壁を覆う装飾にされる場合も、とにかく大きく仕立てられます。

ヴィラ・ターラントの植物園(Botanic Gardens of Villa Taranto)で見た椿は、丸く刈り込まれていましたが、日本では見られないくらい背が高いものでした。木や人と比べてみると分かると思います。

ヴィラ・カルロッタ(Villa Carlotta )の中庭は通路に沿って背の高い生垣があり、ツバキも多く使われています。邸宅裏手の生垣も邸宅と同じくらいの高さにまで茂っていました。

 

広い庭で大きく枝を広げ、のびのび育つ海外のツバキ。ヨーロッパに渡った椿は広大な庭を彩る植物として重宝されたことでしょう。ツバキ自身も日本とは違う国の庭で、その土地の人間たちの要望に応えて大きく育っているようです。

イタリアのツバキ(その2)

イタリア北部のマッジョーレ湖にはいくつかの島があり、その一つのマードレ島は庭園に椿が溢れる島です。

マードレ島(Isola Madre)の椿と古木椿

マードレ島はイタリアの旧家ボッロメオ家が所有する面積8万平方メートルの島で、島全体がいくつもの庭園が合わさってできた植物園になっています。湖に沿った園路をゆくと、石造の階段と竹林、そして椿生垣が見えてきます。やがて「ツバキの広場」に出ると、広場の奥には樹齢200年と言われる椿の古木がありました。花は赤い八重で、たくさんの花を咲かせていました。

樹齢200年の古木椿

マードレ島では、石塀を植物が覆うように仕立てられていて、その中に椿も多く見られます。壁に這わせるように椿を仕立てるやり方は日本ではあまり見ませんが、フランスでも見かけました。無味乾燥な高い石塀や建物壁が常緑のツバキで覆われると、潤いのある雰囲気になります。

そのほかにも島内の至る所にツバキやチャ、その他の植物による生垣がありました。椿の高生垣といえば銀閣寺(東山慈照寺)を思い出しますが、マードレ島の生垣は規模もサイズもかなり大きく、かつ島中で見られました。緩やかな白い石階段がマッジョーレ湖へと伸びており、その道筋の左右に背の高い緑の塀がそそり立ちっています。緑の生垣をこえて青い湖面が見える光景はなんとも美しいものでした。

椿作庭園に遊ぶ孔雀

緑の芝生が広がる庭園では、椿が咲き終えた花を樹下に落として、桃色や赤色の花を色とりどりの雪のように積み重ねています。その花園の上を悠々と孔雀や白孔雀、雉が華やかな羽を揺らしながら悠々と歩く様子は楽園のように美しく、幻想的ですらありました。

邸宅はボッロメオ家の家具調度品や絵画などが展示してあります。華やかな七宝焼の皿に描かれた花々の中に白い椿が、豪奢なシャンデリアと、庭の石の飾りにも椿のモチーフを見つけることできました。

参考:

ICS大会イタリア会議公式案内):

https://internationalcamellia.org/public/downloads/nLfKj/Splendor%20of%20Italian%20Camellias.pdf

イタリアのツバキ(その1)

国際ツバキ会議イタリア大会

会員のいる国で隔年に行われる国際ツバキ協会(International Camellia Society /ICS)の国際ツバキ会議は、2020年に長崎県五島大会で行われる予定でしたが新型コロナ禍により中止となり、2022年に開催予定だったイタリア大会も1年間の延期を経て2023年3月に開催されました。椿の愛好家を中心に研究者、園芸業者など多彩な顔ぶれがそろうこの催事は通例、本会議を挟んだプレ・ツアーとポスト・ツアーを数えると10日を超える大会です。その日程の多くは現地の椿園や植物園などをめぐる視察に費やされます。

2023年イタリア大会の本会議とポスト・ツアーに参加しました。

マッジョーレ湖・バヴェーノへ

今回の大会の会場となったのはイタリア北西部のマッジョレー湖畔のバヴェーノ(Baveno)です。ICS大会の受付を済ませてから、バヴェーノの町へ昼食と散歩に出掛けました。石造りの町並みは穏やかで静かです。そして家々に椿の木が植えられており、今を盛りと花を咲かせていることに驚きと感銘を受けました。スイスに近いこの町でも椿は露地で良く育つこと、当たり前の庭木として地元に愛されていることを実感しました。

ヴェルバニア(Verbania)のツバキ展

翌日からの視察で音連れた第55回ヴェルバニア市椿展はヴィラ・ジュリア(Villa Giuria)で行われていました。ヴェルバニア(Verbania)ツバキ展はイタリアで最初のツバキ展なのだそうです。

ピエモンテ州マッジョーレ湖畔では、150年前からツバキが栽培されており、その実績とツバキの生産や文化遺産を強化したいという一部の愛好家の願望によって、1965年にイタリア椿協会とこのツバキ展の誕生につながったといいます。

椿展の展示はどれも美しく工夫されています。例えば金属製の燭台のような専用什器に花の品種ごとに活けてあったり、絵画のように額に差し込まれてイーゼルにディスプレイされていたり、階段に花籠(オアシスをつめて葉で目隠しされている)でくくりつけられていたり。  

会場の一角に2006年トリノ冬季オリンピックおよびパラリンピックについてのパネルが展示されていて、「マッジョーレ湖の花が競技会場を飾り、16,000 個を超える花束が表彰台ですべての競技の優勝者に届けられた。」と誇らしげに書かれていました。

参考:

  • 55a Mostra della Camelia(第55回ヴェルバニア市椿展パンフレット)
  • 第55回ヴェルバニア市椿展展示パネル
  • つらつら椿:https://tsubaki-fan.com/

夏椿(ナツツバキ)

【椿information】2023-6-22

大気が潤む6月になると、公園や庭先に白い夏椿が咲いているのを見かけます。
夏椿の名は読んでのごとく、夏にツバキのような花を咲かせることからつきました。学名Stewartia pseudocamelliaの「pseudocamellia」も「ツバキに似た(にせツバキ)」という意味です。
大きさは5~7cmくらいでツバキとほぼ同じくらい。白い五枚の花弁を大きく開くところや、雄しべの感じなどが似ているといえるでしょうか。

呼び名なら「シャラ」「シャラノキ」の異名もよく知られます。こちらもインド産のサラソウジュ(沙羅双樹、フタバガキ科サラノキ属の常緑高木)と間違えられたことからつけられた名前。似てるとか、間違えられたとか、何かとアイデンティが弱そうな印象です。

しかし沙羅双樹に間違えられたことで、寺院の庭に植えられることにもなりました。繊細な樹形や赤く美しい樹皮、花は白く、少し波打つ花弁は薄くて軽やかです。寺院の静かな庭の雰囲気にぴったりです。花は終わると、花ごとポトリと地面に落ちます。緑の苔の上に白い花が点々と落ちた様は物静かで美しい風情です。

花が落ちるところはやはりツバキに似ているかもと思いますが、細かなディティールが似ているかどうかよりも、昔の人は、夏に涼やかな雰囲気で私たちの目を楽しませてくれる美しい花であることが、冬の美しい花の代表であるツバキを想起させたのかもしれません。

参考:

新訂原色樹木図鑑、邑田仁監修、北隆館,2004