イタリアのツバキ(その1)

国際ツバキ会議イタリア大会

会員のいる国で隔年に行われる国際ツバキ協会(International Camellia Society /ICS)の国際ツバキ会議は、2020年に長崎県五島大会で行われる予定でしたが新型コロナ禍により中止となり、2022年に開催予定だったイタリア大会も1年間の延期を経て2023年3月に開催されました。椿の愛好家を中心に研究者、園芸業者など多彩な顔ぶれがそろうこの催事は通例、本会議を挟んだプレ・ツアーとポスト・ツアーを数えると10日を超える大会です。その日程の多くは現地の椿園や植物園などをめぐる視察に費やされます。

2023年イタリア大会の本会議とポスト・ツアーに参加しました。

マッジョーレ湖・バヴェーノへ

今回の大会の会場となったのはイタリア北西部のマッジョレー湖畔のバヴェーノ(Baveno)です。ICS大会の受付を済ませてから、バヴェーノの町へ昼食と散歩に出掛けました。石造りの町並みは穏やかで静かです。そして家々に椿の木が植えられており、今を盛りと花を咲かせていることに驚きと感銘を受けました。スイスに近いこの町でも椿は露地で良く育つこと、当たり前の庭木として地元に愛されていることを実感しました。

ヴェルバニア(Verbania)のツバキ展

翌日からの視察で音連れた第55回ヴェルバニア市椿展はヴィラ・ジュリア(Villa Giuria)で行われていました。ヴェルバニア(Verbania)ツバキ展はイタリアで最初のツバキ展なのだそうです。

ピエモンテ州マッジョーレ湖畔では、150年前からツバキが栽培されており、その実績とツバキの生産や文化遺産を強化したいという一部の愛好家の願望によって、1965年にイタリア椿協会とこのツバキ展の誕生につながったといいます。

椿展の展示はどれも美しく工夫されています。例えば金属製の燭台のような専用什器に花の品種ごとに活けてあったり、絵画のように額に差し込まれてイーゼルにディスプレイされていたり、階段に花籠(オアシスをつめて葉で目隠しされている)でくくりつけられていたり。  

会場の一角に2006年トリノ冬季オリンピックおよびパラリンピックについてのパネルが展示されていて、「マッジョーレ湖の花が競技会場を飾り、16,000 個を超える花束が表彰台ですべての競技の優勝者に届けられた。」と誇らしげに書かれていました。

参考:

  • 55a Mostra della Camelia(第55回ヴェルバニア市椿展パンフレット)
  • 第55回ヴェルバニア市椿展展示パネル
  • つらつら椿:https://tsubaki-fan.com/