イタリアのツバキ(その2)

イタリア北部のマッジョーレ湖にはいくつかの島があり、その一つのマードレ島は庭園に椿が溢れる島です。

マードレ島(Isola Madre)の椿と古木椿

マードレ島はイタリアの旧家ボッロメオ家が所有する面積8万平方メートルの島で、島全体がいくつもの庭園が合わさってできた植物園になっています。湖に沿った園路をゆくと、石造の階段と竹林、そして椿生垣が見えてきます。やがて「ツバキの広場」に出ると、広場の奥には樹齢200年と言われる椿の古木がありました。花は赤い八重で、たくさんの花を咲かせていました。

樹齢200年の古木椿

マードレ島では、石塀を植物が覆うように仕立てられていて、その中に椿も多く見られます。壁に這わせるように椿を仕立てるやり方は日本ではあまり見ませんが、フランスでも見かけました。無味乾燥な高い石塀や建物壁が常緑のツバキで覆われると、潤いのある雰囲気になります。

そのほかにも島内の至る所にツバキやチャ、その他の植物による生垣がありました。椿の高生垣といえば銀閣寺(東山慈照寺)を思い出しますが、マードレ島の生垣は規模もサイズもかなり大きく、かつ島中で見られました。緩やかな白い石階段がマッジョーレ湖へと伸びており、その道筋の左右に背の高い緑の塀がそそり立ちっています。緑の生垣をこえて青い湖面が見える光景はなんとも美しいものでした。

椿作庭園に遊ぶ孔雀

緑の芝生が広がる庭園では、椿が咲き終えた花を樹下に落として、桃色や赤色の花を色とりどりの雪のように積み重ねています。その花園の上を悠々と孔雀や白孔雀、雉が華やかな羽を揺らしながら悠々と歩く様子は楽園のように美しく、幻想的ですらありました。

邸宅はボッロメオ家の家具調度品や絵画などが展示してあります。華やかな七宝焼の皿に描かれた花々の中に白い椿が、豪奢なシャンデリアと、庭の石の飾りにも椿のモチーフを見つけることできました。

参考:

ICS大会イタリア会議公式案内):

https://internationalcamellia.org/public/downloads/nLfKj/Splendor%20of%20Italian%20Camellias.pdf