【椿information】2023-9-14
今年もまた椿の実の収穫と搾油の時期になりました。大きく育った木から実を収穫するのは大変で、手の届かない実を脚立に登って採ったり、高枝切りバサミを使って枝ごと切って採ります。
高枝切りバサミのなかった時代はどうしていたかというと、木に登って採っていました。または下草をきれいに払ってから地面に筵や布を敷き、その上に木から実を振り落したり、棒で引っかけて落してから拾いました。収穫の頃合いは、実の中が黒くなってちょっと割れてきたころを見計らうのだそうです。
下の絵は1933年に清水柳太という画家が描いた『大島風俗』という伊豆大島の風俗を描いた絵巻物の中の絵です。木に登るのは女性達ばかり。みな笑顔です。絵には「椿の実を採りながらアンコたちは朗らかな聲で唄う」と添え書きしてあります。採った実は頭や腰に付けた小さな籠に入れました。
かつての大島では椿油作りは女性の仕事でした。重労働ですがよい現金収入になります。「だから奥さんの方がお金持ちだったのよ」と島の女性は笑って教えてくれました。椿油作りは女性の仕事ではなくなりましたが、明るくたくましい大島の女性は今でも健在です。
『大島風俗』清水柳太(伊豆大島文化情報館・藤井工房所蔵)
参考文献
・大島風俗、清水柳太、1933、伊豆大島文化情報館・藤井工房(旧「伊豆大島木村五郎・農民美術館)所蔵