覆輪一休(ふくりんいっきゅう)
覆輪一休/撮影:高野末男
花:淡桃色地に紅色の縦絞りと白覆輪、八重、蓮華咲き、小輪。花期は4月。葉:長楕円、披針形、小形、黄緑色の覆輪葉。樹:立性、強い。来歴:小紅葉の枝変わり。1859年の「椿伊呂波名寄色附」に載る。(最新日本ツバキ図鑑)
葉の模様
「覆輪」と聞くと、「玉之浦」に代表される覆輪花のことがまず思い浮かびます。覆輪一休の花も淡桃色地に紅色の縦絞りに白覆輪が入っていますが、葉も覆輪というところに注目してください。
ツバキの葉には、色が薄くなった部分が現れる斑入りの現象が生じることがあり、これを「錦葉(にしきば)」と呼びます。斑入り模様の現れた方によって、覆輪、掃き込み斑、散り斑などと細かく呼び分けられることもあり、覆輪葉もその一つです。
常緑樹であるツバキは葉も鑑賞の対象です。葉の形、色、大きさ、花とのバランス、そして模様など、葉の面白さや美しさは花期以外でも楽しめるので、品種の人気を左右する要素となります。
覆輪一休の葉はやや細長く、濃い緑に黄緑色が葉を縁取るように入ります。椿研究家の桐野秋豊氏は「細くなった錦葉と花はよく似合う」とおっしゃっていました。
引用・参考:
最新日本ツバキ図鑑、日本ツバキ協会編、誠文堂新光社、2010
日本のツバキ ふるさとと品種、桐野秋豊、淡交社、1976
コトバンク 世界大百科事典(旧版)【ツバキ(椿)】より、平凡社