常緑樹であるツバキは葉も重要な鑑賞の対象です。鑑賞ポイントは多岐にわたり、葉の形、色、大きさ、花とのバランス、白斑による模様などがあります。
最もわかりやすいのが形。葉の先端が金魚の尾びれのように3つに分かれています。
錦魚葉椿の錦魚のような形をした葉を見て「かわいい!」と思う方は多いでしょう。花はシンプルな桃色の一重なので、むしろ花より葉の方が人気のようです。
錦魚葉椿のように通常とは少し異なる特徴的な形をした葉を「変わり葉」と言います。よく知られるのは、錦魚葉、盃葉、梵天葉、柊葉、鋸葉、桜葉、百合葉、などがあります。
梵天葉は錦魚葉より強くくびれて主脈が裏側に突き抜け、葉の裏に小さな葉がもう一つぶら下がっているような状態で、見るからに不思議な形です。梵天葉を持つ代表的な品種の「梵天白(ぼんてんじろ)」は白色一重の大輪での花を咲かせます。盃葉は葉の中心部あたりがへこんで盃のようです。
<錦魚葉(錦魚葉椿)> <梵天葉(梵天白)> <盃葉(盃葉椿)>
鋸葉は葉の縁が鋸の様にギザギザしています。柊葉、桜葉、百合葉はそれぞれの植物の葉に似ているのでそのように呼ばれます。
<柊葉(柊葉椿)>
このような変化が、葉先が2~3枚に分かれるもの、盃状になるものなど変化に富む「七変化椿」という品種もあります。江戸時代から知られた古典品種です。
葉の面白さや美しさは花期以外でも楽しめるので、品種の人気を左右する要素となります。
引用・参考:
最新日本ツバキ図鑑、日本ツバキ協会編、誠文堂新光社、2010
現代椿集,日本ツバキ協会,講談社,1972
最新椿百科,横山茂編集、野口慎一ほか,淡交社,2022